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名古屋工業大学大学院 工学研究科 張・岩井研 Nagoya Institute of Technology Cho/Iwai Laboratory








研究内容・設備RESEARCH

本研究室では, 主に下記のテーマについて実験および構成式を用いた数値解析を通して研究を行っています.
それぞれの研究テーマについて, 実験装置の紹介を交えながら簡単に紹介していきたいと思います.

不飽和土班

  • 構造物を建設する際, その周辺や基礎となる地盤挙動の適切な予測により, 合理的で安全の確保された設計・施工が可能となる. 近年では, 地盤挙動の予測に対して, 土の多様な力学現象を要素レベルでモデル化(構成式)し, 初期値・境界値問題として解く数値解析手法が広く用いられる. 構成式は, 飽和土および乾燥土では多数提案されており, 実問題にまで適用されている. 一方, 不飽和土は力学挙動の複雑さ等により, 実問題まで適用されている例は少なく, 不飽和地盤を飽和地盤と仮定して解析が行われている. しかし, 降雨時の斜面崩壊, 堤防の浸透破壊など, 地盤内の水分量が影響するような現象を取り扱う上で, 不飽和土の構成式は必須である.
     本研究では, 再現性のある試験を実施し, 不飽和土の力学挙動を把握するとともに, 不飽和土の挙動を適切に表現できる構成式を構築することを目的としている.
試験装置:不飽和土の水分量やサクションの影響に着目し, 試験を実施している.
  不飽和土三軸圧縮試験装置
載荷能力 5kN
耐圧 1MPa
供試体寸法 直径50mm × 高さ100mm
体積計測 二重セル方式
載荷方法 応力制御, ひずみ制御
不飽和土-定ひずみ圧密試験装置 
 載荷能力 5kN
 耐圧能力  1MPa
 供試体寸法  直径60mm × 高さ20mm
 体積計測 軸変位計
載荷方法   応力制御, ひずみ制御

  • 地震発生に伴う地盤の挙動や液状化を精度よく評価するために, 要素試験や数値解析を用いることが多い. 地盤の変形特性を表現するためには,要素試験によって種々の拘束圧における砂の力学挙動を把握する必要がある.  中・高拘束圧(σ’m0≧98kPa)での要素試験は多く実施されているが,低拘束圧(σ’m0≦49kPa)の要素試験はまだ十分とは言えない.
     そこで, 本研究では, 低・中拘束圧条件下での非排水繰返し三軸試験, 排水・非排水単調載荷三軸試験を実施し, 異なる間隙比の砂の力学挙動を検証した. これらの試験から. 砂の粗密状態を判断する要因として, 間隙比だけでなく, 拘束圧にも依存することがわかった. 現在は, メンブレンのより薄いもの(0.15mm)を使用して実験を実施している. さらに, これらの実験結果に基づき, 過圧密・構造・異方性を統一的に考慮する弾塑性構成式Cyclic Mobility モデルの改良を試みる.
試験装置:低・中拘束圧下における非排水繰返し三軸試験及び変位制御単調載荷三軸試験を実施している.
三軸圧縮試験装置(単調載荷, 繰返し載荷)
載荷方法 動的・静的載荷
制御方法 応力制御・ひずみ制御
供試体寸法 直径50mm × 高さ100mm
体積計測 ビュレット(排水試験時)
載荷速度 静的:0.002〜1.0 %/min
動的:0.001〜1.0Hz
低・中拘束圧用ロードセル
載荷能力 100N, 500N, 2kN, 5kN
制御精度 0.1, 0.5, 2, 5 (kPa) 
耐圧 50, 250, 900, 900 (kPa)
4種類のロードセルを試験ごとに使い分ける.

デコルマ班


等方動的載荷及びK0動的載荷試験装置外観
  • 沈み込み帯におけるプレート境界断層形成時の力学挙動を理解することは, 海溝型地震発生帯の形成メカニズムを解明する大きな手がかりになる. しかしながら, これまでの巨大地震に関する研究は遠方観測データや遠い過去の地質記録からの類推によるものがほとんどであり, 将来的にプレート境界断層になるとされるデコルマ相当層準からデコルマへの変性過程における材料の力学特性やその形成メカニズムについて力学的根拠を基に議論している研究は数少ない. 加えて, プロトデコルマへの変性過程ではこれまでの地盤工学や地質学の常識では考えられない現象が発生している.
     本研究班では, 地盤工学と地質学, 地球物理学の知識と技術を融合し, 国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)と共同でその形成メカニズムと未知の力学現象の解明を試みている. 現在は, 「ちきゅう号」で採取された海洋堆積物を用いて基礎的な力学試験を実施しており, その力学特性の把握に努めている。
試験装置:特に高圧条件下で数Hzの繰返し載荷を受ける地盤材料の巨視的変形特性(密度変化)と微視的構造特性(内部構造,粒子配列)に着目している.
等方動的載荷試験装置
  セル圧 20MPa(振動圧:10MPa)
変位計測 渦電流式変位センサー
最大鉛直変位:5mm
供試体寸法 直径50mm × 高さ20mm
直径25mm × 高さ20mm
体積計測 二重管ビュレット:10ml
背圧 1MPa
載荷方式 荷重制御 
載荷周波数 0.01~10Hz 
K0動的載荷試験装置
   最大荷重 50kN(静的), 25kN(動的)
変位計 20mm(静的), 5mm(動的)
供試体寸法 直径50mm × 高さ20mm
直径25mm × 高さ20mm
体積計測  二重管ビュレット:5ml
背圧 1MPa 
 載荷方式 荷重制御・ひずみ制御
 載荷速度 0.0001〜0.1mm/min
0.01〜5Hz 


高温中容量三軸圧縮試験機
  • 高レベル放射性廃棄物の処理方法として, 地層処分は各国で注目されているが, 解決しなければならない問題は少なくない. 天然バリアである堆積軟岩に地層処分を実施する場合, 高レベル放射性廃棄物が長期に渡って大量の熱エネルギーを放出するため, 岩盤の長期安定性を脅かす可能性があると懸念されている.
     本研究では, 既往の研究でも実施されているトンネル模型実験の実施及び, 提案する構成式を用いた有限要素解析での実験結果の再現を目的とする. 試験試料として人工軟岩という新たな材料を用いるため, まずは異なる温度環境下における三軸圧縮試験及び三軸クリープ試験を実施し, 材料特性の把握に努める. その後, 構成式の妥当性を検証するため, 三軸圧縮試験と三軸クリープ試験の実験結果と解析結果の比較を行う. さらに, 異なる温度環境下の人工軟岩を用いたトンネル模型実験とその再現を試み, 境界値問題への適用性を示す.
試験装置:高温環境下における堆積軟岩の力学挙動の把握に努めている.
高温中容量三軸試験装置, インナーチャンバー
載荷能力 最大軸荷重:50kN
制御方法 三軸圧縮:ひずみ制御
クリープ試験:応力制御
供試体寸法 直径50mm × 高さ100mm
体積計測 二重セル方式
温度 80℃まで加温可能
トンネル模型実験装置
最大上載圧 2MPa
最大側圧 0.5MPa
供試体寸法 横幅×奥行×高さ:
50cm×15cm×50cm
載荷方法 応力制御

振動台班



実験のシミュレーションに用いた3D有限要素メッシュ及び実験結果と解析結果の比較
  • 軟弱地盤は日本全土に広く分布おり, そこに構造物を建設する際, 直接基礎では構造物が支持できない場合があるため, 地盤に深く杭を打ち込み上部構造物を支える杭基礎を多く採用している. 一方で, 日本は大規模な地震が多く発生するため, 地震による構造物の被害は無視できない問題である. しかしながら, 杭基礎構造物は, 地上構造物に比べて大がかりな工事となるために費用面だけでなく施工面からも実施が困難な場合が多い. 今後, 杭基礎の補強を効率的に行っていくためには, 施工コスト, 工期,施工性,効果において有利な工法を検討する必要がある. これらの背景から, 部分的な地盤改良による杭基礎の補強工法に着目して研究を行っている. 部分的な地盤改良による杭基礎の補強とは, 杭基礎周辺地盤をセメントなどの地盤固化材料により部分的に改良し, 杭基礎を補強するものである. 1G場における振動台実験およびそのシミュレーション解析, また実物スケールにおける数値実験によって, 種々の地盤改良パターンの耐震補強効果を比較・検討を行っている.
試験装置:大型振動台を用いて, 地中構造物の耐震性能に関するモデル実験を実施している.
1G場振動台実験装置
制御方法 空圧サーボ制御
最大空圧 1MPa
最大振幅 0.05m
最大加速度 9.8m/sec2
土槽寸法  ・せん断土槽
・横幅×奥行×高さ:
 1.2m×1.0m×0.8m 
せん断土槽及び杭基礎構造物模型
 

ガスハイドレート含有地盤班



CO2ハイドレートを利用した二酸化炭素海底面下貯留の概念図
  • 温暖化の原因の一つとされている二酸化炭素(CO2)の大気中への大量放出を抑えるべく二酸化炭素回収隔離(CCS)が注目されている. 現在では回収したCO2ガスをCO2ハイドレート化, つまり固体化して海底地盤内の比較的浅い砂層に固定する方法が効果的であるとされている. しかしその一方で, CO2貯留隔離後の海底地盤内はCO2ハイドレート含有状態になり, その力学挙動については未知な部分が多く残されている. このハイドレート含有地盤が, 長期的に安定かつ安全で, CO2漏洩のリスクや海底地盤災害の危険性はどの程度なのかといった評価は必ずしておかなければならない. 本研究では, 地盤工学の見地からCO2ハイドレート含有地盤が様々な外力に対して安定かどうかを基礎的な力学試験を実施し, その強度や変形特性について調べていくことを主な目的とする.
  • 海底地すべりの発生は,地震によって発生した津波を増大させたり,地震を伴わない海底地すべりによる津波を発生させることが広く認識され始めている.例えば,2011年東北地方太平洋沖地震では,断層変位から想定される津波規模よりも大きな津波が東北沿岸域で確認されており,その原因が海底地すべりによる大規模な海底地形の変化により津波規模が増大されたとの報告もある.また海底地すべりによる土砂輸送が,海底ケーブルやパイプラインを破断するなど,災害および沿岸構造物被害の観点から取り組むべき重要な課題である.
     ところが,海底地すべりの発生原因・メカニズム・規模については,海底地盤の観察が困難であることもあり,ほとんど解明されていない.海底地すべりのメカニズムやダイナミクスを明らかにするためには,海洋地質学,海洋科学,地形学的な知見に地盤力学的な切り口も加えた総合的な研究が必要不可欠である.本研究では,従来の地盤力学的手法に則して,海底斜面を模擬した室内模型実験により海底地すべり発生メカニズムとその規模に関する体系を構築することを主な目的とする.
表 海底地すべりの主な特徴
 海底地すべり誘因 斜面形状・海底地形  土質  すべり規模 
過剰間隙水圧上昇
水膜の形成
過剰間隙ガス圧上昇
地震慣性力 など
急峻な海底崖
1°未満の緩傾斜
河口付近のデルタ地形
不透水層の有無
プレート沈み込み帯,断層
メタンハイドレート含有地盤
海底火山
砂質土
シルト
粘性土
砂泥互層
火山灰混じり
すべり距離
すべり速度
土砂容量
乱泥流の発生
乱泥流の再堆積

Fig.1 海底地すべり模型土槽写真
Fig.2 海底地すべり模型土槽概略図
 
Fig.3 水中カメラ映像 (豊浦砂,斜面傾斜10°,不透水層あり)



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